「脅迫罪で起訴されてしまい、どのような判決になるのか不安。」
「脅迫事件の裁判例を知りたい。」
脅迫の訴訟・裁判例について知りたい方へ。
脅迫に関する裁判例はあまり多くありませんが、どのような事例が問題になるのか理解しておくことは大切です。
脅迫事件に強い弁護士に相談して、無罪判決を目指しましょう。
Q 脅迫に当たるかどうかが争われた裁判例を紹介してください。
相手に対して、何らかの方法で、害悪を伝えると脅迫罪に当たります。その内容としては、一般人を怖がらせる程度の内容であることが必要です。単なる不快感、気味悪さ、不安感を与えるだけでは足りないといわれています。
過去の判例の事案では、「出火お見舞い申し上げます。火の元に御用心」と書いた郵便はがきを送付した事案があります(最高裁昭和35年3月18日判決)。
上のケースで、弁護人は、単なる出火見舞いにすぎず、一般人がこれを見ても放火されると感じることはないと主張しました。
これに対し、裁判所は、火事もない状況で、対立抗争のある一方の自宅に、このようなはがきが送られれば、放火されるかもしれないと怖がるに十分な内容であるとして、脅迫罪の成立を認めました。
もう一つ裁判例をご紹介します。被告人が、居酒屋の入店を断られた腹いせに、ライターで点火して燃えた段ボールを店の出入口に置いて脅迫したとして起訴された事案があります(横浜地裁川崎支部平成20年1月25日判決)。
裁判所は、燃えた段ボールを置く行為は、将来、店を放火することを暗に示す内容とまではいえず、脅迫行為ではなく、無罪としました。
「出火お見舞い申し上げます。火の元に御用心」と書いたはがき | 脅迫に当たる (有罪) |
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燃えた段ボールを店の前に置く行為 | 脅迫に当たらない(無罪) |
Q 相手が喧嘩を売ってきたので、脅しで対抗しました。脅迫罪に当たるのでしょうか?
個別のケースや脅迫の内容にもよりますが、正当防衛が成立し、脅迫罪の罪に問われない可能性があります。
事例として、若く体格もがっしりした相手が、「お前殴られたいのか」と言いながら両手を前に突き出し、足を蹴り上げるポーズをしながら近づいてきたのに対し、包丁を車から取り出して腰の辺りに構えて脅迫した事案があります。
この行為が、暴力行為等処罰法の脅迫罪に当たるとして起訴されました。裁判所は、被告人の脅迫行為は、自分の体を防衛するためにやむを得ずしたものであり、正当防衛が成立するとして、無罪判決を言い渡しました(最判平成元年11月13日)。
喧嘩をしている最中に、このように脅迫行為によって自分の身を守ることはありがちです。ただし、防衛のための脅迫行為が必要最小限を超えると、過剰防衛として有罪となってしまうことに注意が必要です
このように、喧嘩の過程で、暴行・脅迫してしまったという場合、正当防衛が成立する可能性がありますので、早めに、刑事事件に強い当弁護士事務所までご相談ください。