「ストーカー行為と脅迫罪って関係があるの?」
「元恋人に、会ってくれないと何をするか分からないと脅してしまったがこれは脅迫罪なのか。」
ストーカー行為と脅迫の関係について知りたい方へ。実際にストーカー行為がエスカレートし、脅迫にまで至ることは少なくありません。
脅迫事件に強い弁護士に早く相談して、事件をスムーズに解決しましょう。
Q ストーカー行為と脅迫行為の線引きはどのように考えればいいですか?
近年、ストーカー被害が殺人等の重大犯罪につながる事件が多発したため、ストーカー行為規制法が制定されました。
法律制定前であっても、ストーカー行為がエスカレートして、脅迫罪等に該当すれば検挙されていました。しかし、エスカレートする前のストーカー行為についても、刑事罰の対象とすることで、重大犯罪を未然に防止する点に意義があります。
ストーカー行為に該当するためには、恋愛感情やそれが満たされないことによる怨恨の感情を満たす目的が必要となりますが、脅迫罪は特定の目的は必要ありません。
ストーカー行為は、8種類のつきまとい行為を反復する行為が対象となりますが、脅迫は、他人に対する害悪の告知が対象となり、1回限りの行為でも脅迫罪に当たります。
もともとは被害者の告訴を必要とする親告罪でしたが、平成29年の法改正により、ストーカー行為規制法の規定も非親告罪となりました。
ストーカー行為規制法 | 脅迫罪 | |
---|---|---|
目的 | 恋愛感情等の充足 | 不要 |
対象行為 | つきまとい行為 | 害悪の告知 |
反復性 | 必要 | 不要 |
親告罪か否か | 非親告罪 | 非親告罪 |
刑事罰 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(禁止命令違反は2年以下の懲役または200万円以下の罰金) | 2年以下の懲役または30万円以下の罰金(強要罪に当たれば3年以下の懲役) |
Q ストーカー行為の種類にはどのようなものがありますか?
ストーカー行為には、以下の8種類があります。いずれの種類のつきまとい行為であっても、1回限りの行為は刑事罰の対象ではなく、これらを反復することが、ストーカー行為として規制されます。
また、1号から4号のつきまとい行為については、単に反復するだけではストーカー行為にはなりません。
1号~4号のつきまとい行為の反復が、「身体の安全、住居の平穏、名誉または行動の自由が著しく害される不安を覚えさせる方法」であることが、ストーカー行為の付加要件となっています。
つきまとい行為の種類 | 付加要件 | |
---|---|---|
1 | つきまとい、待ち伏せ、進路妨害、見張り、住居への押し掛け | ●反復性 ●不安を覚えさせる方法 |
2 | 監視していることの告知 | ●反復性 ●不安を覚えさせる方法 |
3 | 面会・交際等の要求 | ●反復性 ●不安を覚えさせる方法 |
4 | 著しく粗野または乱暴な言動 | ●反復性 ●不安を覚えさせる方法 |
5 | 無言電話、連続電話、連続FAX、連続Eメール | 反復性のみ |
6 | 汚物、動物の死体等の送付 | 反復性のみ |
7 | 名誉を害する事項の告知 | 反復性のみ |
8 | 性的羞恥心を害する事項の告知、性的羞恥心を害する文書等の送付 | 反復性のみ |
Q たとえば、動物の死体を送りつける行為には、脅迫罪は成立しないのでしょうか?
たしかに、自宅に動物の死体が送りつけられた場合、被害者によっては、今後、自分に危害が及ぶかもしれないとの不安を抱くことも十分考えられます。
しかし、単に動物の死体を送りつけるだけでは、今後、相手に危害を与えるというメッセージが十分に表れていないため、原則として「害悪の告知」に当たらず脅迫罪は成立しないと考えられます。
例外的に、電話や口頭のやりとりで今後の危害の可能性を示唆された経緯で、動物の死体が送りつけられた場合に限り、脅迫罪に当たる可能性があります。
ストーカー行為は、つきまとい行為や嫌がらせ行為によって、相手に不安感を与える犯罪です。一方、脅迫罪は、害悪の告知により、単なる不安感にとどまらず、危害を加えられるかもしれないという恐怖感を与える点が異なります。
ストーカー行為として警察から連絡を受けた方、つきまとい行為の中で、脅迫に当たる行為をしたかもしれないと心配されている方。ぜひ、刑事事件に強い当事務所までご相談ください。
ストーカー行為規制法 | 脅迫罪 | |
---|---|---|
行為態様 | 身体、住居、名誉、自由が著しく害される不安を覚えさせる方法 | 生命、身体、名誉、自由、財産に対する害悪の告知で、他人を畏怖させる程度の内容であること |